今年4月、放送大学に入学した。
入学した理由は特にない。単純に、何かこれまでの人生であまり縁のなかった学問に触れたくなったのと、減ってしまった隙間時間でもこれならなんとかなりそうという手触りがあったからだ。また、学生証で学割を使えるというのも魅力的だった。
放送大学の仕組みと利点
放送大学の授業は、主にBSテレビ、BSラジオ、およびインターネット経由のオンデマンド配信といったマルチメディアを利用して実施される。学生はこれらの放送教材と、科目ごとに用意された印刷教材(テキスト)を組み合わせて学習を進める。これにより、自宅など任意の場所で、自分のペースに合わせて受講が可能である。
入学時の在籍区分は、学習目的に応じて選択できる。学位取得を目指す場合は「全科履修生」となるが、特定の科目を試したい、または短期間で学びたい場合は、1年間在籍の「選科履修生」や、半年間在籍の「科目履修生」として入学できる仕組みである。
私個人が最も興味を引かれたのは、学生ならばインターネットで配信されているラジオ・テレビの講義映像を基本的に全て視聴することができることだ。科目登録していない科目も全て見ることができるので、ちょっとした興味本位で色々な科目をかじってみることができるのだ。要は大学授業のサブスクみたいなものだ。
入学金は科目履修生の場合9000円。受講料は1科目12000円(テキスト込み)。大学公式サイトによると、卒業までに必要な学費は約77万円。普通の大学にかかる費用を考えると極めて低価格といえる。
いざ入学
放送大学の入学願書出願は、4月入学の場合11月〜2月、10月入学の場合は6月〜9月頃に行われる。出願はオンラインで行われ、氏名や住所、年齢や最終学歴などを入力し、受講したい科目を選び(とりあえず1科目にした)、入学資格を示す書類を添付するだけ。私の場合は大学の卒業証明書を使った。在籍区分は、1年間在籍の「選科履修生」にした。
数週間後、選考完了というメールが来て、自宅に選考結果通知(合格通知)と学費の払込取扱票が届いた。合格まであっけなさ過ぎて驚いたくらいだ。期限までに学費を振り込めば後は開講を待つだけだ。
4月以降は、合格証書と引き換えに学生証も手に入れることができる。行かなかったが、学習センター(学生は全員どこかのセンターに所属することになる)で入学式も行われていた。
受講と単位取得まで
入学した学期、私が登録したのはラジオ講義の「経営学入門」だ。ラジオにしたのは、他のことをやりながら受講を進められると考えたからだ。
授業全15回で、倍速でも視聴可能。内容はほとんどテキストと同じ。というか、ほぼテキスト通りに話が進んでいく。単位を取りたいだけならテキストの精読だけでもある程度いけるとは思う。ただ、時々テキストにない話が出てくるので、やはり一回は視聴した方が良い。
単位は、授業期間中に提出する課題(リポート)や、学期末に実施される単位認定試験の結果に基づいて認定される。また、多くの科目では学期の中間辺りで通信指導提出という課題がある。このテストをクリアしなければ、学期末の単位認定試験を受験できない。
経営学入門の場合、通信指導提出と単位認定試験をクリアしなければならなかった。いずれも選択式問題で全10問だ。
通信指導は事前に問題が全て開示されるので、あらかじめ解答を作成してから提出するとスムーズだ。ウェブ上で解答し、すぐに採点結果が出る。ここで不合格になると、もうその学期では単位認定試験を受験できない。ただ、次の学期に再登録ができるらしい。
単位認定試験は、通信指導と異なり問題は事前にわからない。試験期間中、60分の時間制限内に解答する。試験対策としては、過去2学期分の試験問題を入手できるので、これを解くことくらいだろうか。こちらもウェブ上で解答するが、採点結果は後日となる。
成績はⒶ、A、B、C、D、Eの6段階で評価され、C以上が合格となる。特に成績優秀な場合(90点以上)だとⒶになる。今回の成績はⒶだった。成績発表の時期になると、放送大学生たちがSNSで盛り上がってちょっと楽しい。なんだか大学時代を思い出すようだった。
成績発表後、次の学期の科目登録が始まる。分厚いシラバスが届くので、どの授業を取るか、考えるのも結構楽しい。
そして今学期、私は3科目を受講している。受講するのは結構しんどいが、仕事の気分転換になるし、何より勉強になる。来年は全科履修生になろうかと思っている。
